小学生の頃に福岡で鉄道会社に勤めて定年退職後、故郷にUターンした祖父の弟さんがいました。我が家は周囲と同じ農家でしたが、弟さんは何も仕事もせず自転車であちこちに出かけることが日課のようでした。当時は55歳が定年の時代だったので、多くの日本人も退職金をもらって老後は悠々自適の暮らしだったのではないかと、当時の子どもの目には写りました。
もう一人祖父の弟さんの中に船会社の外国航路で船長をしていた方で、定年退職後は鎌倉に住み、時々故郷にゴルフを兼ねて顔を出す人がいました。この人はもっと悠々自適な生活を送っているように私の目には見えました。ある時、その弟さんが「菊正宗」という清酒1本を酒好きの祖父宛に木箱の貨物便で送ってくれたことがあります。
私も当時小学生でしたが、祖父の喜ぶ姿は今でも目に焼き付いています。我が家はほぼ自給自足の農家で決まった現金収入もなく細々と暮らしていましたので、会社勤めだった祖父の弟さんたちのゆとりある生活をとても羨ましく感じていました。当時は戦後復興の高度経済成長期の時代でもあり、大企業で働く人たちの生活は農家より遥かに豊かだったようです。




