外国為替相場はマーケットで決まるので、貿易収支では常に為替差益や差損が発生しますが、一方的な輸入関税率が大統領の一声で上下されるようになると輸出入において自由貿易は成立しなくなります。自国の雇用を守るために自国での生産を増やすことは理屈として成り立ちますが、一方的に輸入に関税を掛けると相手国との貿易不均衡が生じます。米国がトランプ政権に代わると政府が貿易活動に直接干渉して制度や政策を打ち出すことが予想されます。
いわゆる保護貿易の強化ですが、1次トランプ政権でも一方的な関税の政策でサプライチェーンが寸断されたように円滑な自由貿易が閉ざされることになります。為替も貿易収支も国際的な枠組みで貿易不均衡にならないように今日まで話し合われてきましたが、トランプ政権がどう動くのか景気の先行きが読めない幕開けの年となりそうです。日本はかつての円高で製造業が海外へ出て現地生産に切り替えてきましたので、今日は輸入が増えているのが現状です。
米国の景気は一部の州のテック業界が牽引しているのが現状で、かつての重厚産業の地域は競争力を失い弱体化していますので、国民の間に経済的な格差とともに分断が生じています。近年、米国景気は絶好調でしたが、富の分配が偏って米国民の労働者層に政治不信が広がり今回の大統領選挙の結果へ繋がったものと思われます。関税を撤廃しようというTPPの議論はどこへ行ったのでしょう。
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