2018年5月30日水曜日

ひと時

先日、1,2年ぶりに普段通過している武蔵小杉駅に下りました。たまたま夕方から異業種交流会での講演を聴く予定にしていましたので、その前に軽い夕食をと会場近くの蕎麦屋さんを漸く探して入りました。17時頃だったので店内は静かで、年老いた店主はボーとテレビに目をやっていました。「やっていますか?」「どうぞ」「ざる蕎麦もらいますか?」「ありますよ」と軽い対話の後に、私のほうから口火を切って話しかけました。蕎麦屋を営んで48年で、近く道路新設の立ち退きの為に閉店するということでした。昔、町内には10店以上の蕎麦屋があったが、今でも残っているのは自分の店だけで、商売の難しさを語っていました。自分の代で終わろうと思っていたら、40過ぎの息子が後を継ぐと言い出し、此処は地価も高いので新たな店は今の武蔵小杉から離れるようです。蕎麦もうどんも自前で打っていると、白髪の老人店主も少し自慢げに話していました。会話がしばらく弾みましたが、私も先の予定があり、会話の余韻を残しながら店を後にしました。10年以上も続く武蔵小杉駅周辺の再開発は人々の動きも町の佇まいも変えているようです。閉店前にもう一度機会があったら、店主の老人と再会したいものです。作り手の気持ちのこもった、とても美味しいお蕎麦でした。

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