2023年8月16日水曜日

付加価値と人件費

所得倍増計画という国の政策は1960年(昭和35年)当時の池田隼人内閣で閣議決定されたものです。目標は10年以内に国民の所得を倍増しようというものです。戦後、日本は高度成長へ邁進していましたので二桁成長も夢ではなかったのです。中流社会が実現できたのも国民が欧米諸国に追いつくため豊かさを求めて必死に働いたからではないでしょうか。

実際、7%強の賃金を企業が毎年昇給していくと10年で人件費は倍増します。困難でも4%ずつ毎年賃金を引き上げていけば10年で5割アップします。主要国と日本との人件費の格差が開いたのは日本全体で賃金を上げてこなかったからです。何故、日本が賃金を上げられなかったのかと申しますと、日本経済が長年にわたり成長してこなかったからです。

世界全体でのGDPは3位ですが、一人当たりのGDPは30年前の上位から30位に転落したからです。つまり、日本人が稼げなくなってきたからだと言えます。何故稼げなくなったのかと考えますと、人材の流動化を促進する政策が実現されず、付加価値を生む分野へ人材がシフトしなかったからです。企業は付加価値を上げなければ粗利が増えず人件費も上げられないのです。

行政を司る皆さんは会社経営と同じように国家の運営を考えてほしいのです。経済を成長させて税収を増やさなければ、国家予算の歳出増を賄うことはできないことを国家は肝に任じなければならないのです。企業の中には人材の流動化で10年以内で所得を倍増できるところも存在するはずです。リスキリングを実施して付加価値の高い分野に人材をシフトすべきです。

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