2018年7月11日水曜日

監査役の話

かつてIT業界に来る前に建設業界にいましたが、今でも記憶しているストレスは、年に一度本社から現場へ調査にやってくる監査役への対応でした。監査役も若い時代に現場を経験しているので現場の状況を良く知っており、弱点を突っ込まれてばかりでした。監査役による調査結果は現場や支店の評価になるので、鋭い指摘は嫌なものでした。いつも我々現場では「重箱の隅をつつく」監査役のことを「ちびっ子ギャング」と言って現場の邪魔者扱いのように感じていました。 しかし昨今、世の中で企業の不祥事が多い原因の一つには監査役が機能していないとも思われるのです。監査役が機能していなければ、企業から依頼を受けた外部の監査法人が隅々まで問題をただすことは難しいとも考えます。業務上の不正を正すのは内部の独立した監査役でなければならないからです。取締役にも時には経営トップにも意見を具申できる権限を持つのが監査役です。会社経営には厳しい意見を第三者的な立場から言える監査役が必要です。 私自身も経営者の立場に立って、監査役の役割が重要なことを感じています。良い会社にするためには第三者的な意見に耳を傾けることが必要です。昨今の企業不祥事も、組織体制が長期的にマンネリ化してきた反動から起きたのではないでしょうか。幸いにも内部告発に対して許容される時代になってきたので、長年の悪習が寧ろ改善のチャンスに働いて良しとすべきです。人間は外部からの厳しい目と指摘がなければ杜撰な行動を起こしがちです。若い頃を思い出すと、かつての会社が立派になったのも監査役という立場の存在があったからだと思います。

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