2018年10月2日火曜日

在りし日その3

「医者になったら?」これは生前の父が、上京して間もない頃の私に外食をしながら問いかけた言葉です。自分の子供の能力も知らず無責任に放つ言葉に内心呆れてしまいましたが、父はおそらく、自らが長年事業家として歩んできた道を不安定だからと、多分私に医師になることを諭したのでしょう。しかし、肝心の私にはその真意が伝わりませんでしたし、父の発言は傍観者的に思えました。当時の私は地方で教職の道を歩む計画でしたので、敢えて父にはそのことは話しませんでした。実は食事に同席していたのが、当時からあまりよく思っていなかった継母だったからです。何が行き違いだったのか、変わった家族関係でもあり、最期の最後まで私等と冷たい関係が続いたのです。おそらく私等が実母との付き合いをやめないことへの仕打ちだったのではないかと思います。血縁関係は子供にも微妙に感じるものです。「親に二の舞は踏まない」という私の意志は子供の頃から培われたような気がいたします。

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